査読付き or 投稿中

  1. “Quantum spin state stabilized by coupling with classical spins”
    H. Yamaguchi, T. Okubo, A. Matsuo, T. Kawakami, Y. Iwasaki, T. Takahashi, Y. Hosokoshi, and K. Kindo
    Physical Review B 109, L100404 (2024).
    S=1/2とS=5/2の2種類のスピンが混在するフラストレート正方格子模型が実現している有機磁性体の解析を行いました。磁場中では、S=5/2のスピンが完全に磁場方向に揃った状況で、S=1/2のスピン集団が、非磁性状態を安定化させていることが明らかとなりました。私は、結果の解釈などについて、理論的な立場から寄与しました。(テンソルネットワークの計算もしたのですが、様々な理由により論文には載っていません)
  2. “Spin Seebeck Effect as a Probe for Majorana Fermions in Kitaev Spin Liquids”
    Yasuyuki Kato, Joji Nasu, Masahiro Sato, Tsuyoshi Okubo, Takahiro Misawa, and Yukitoshi Motome
    arXiv:2401.13175
    この論文では、磁性体の両端に温度差を与えることでスピン流生じる「スピン・ゼーベック効果」について、キタエフスピン液体での振る舞いを理論的に解析しました。その結果、スピン自由度を持たないマヨラナフェルミオンがスピン流の担い手となること、キタエフ相互作用の符号に応じて、スピン流の符号も変わることを明らかにしました。これらの発見は、マヨラナ粒子のような分数化した準粒子の探索に、スピン・ゼーベック効果が利用できることを示唆しています。科研費基盤Aのプロジェクトでの共同研究です。
  3. “Absorbing Phase Transitions in Artificial Deep Neural Networks”
    Keiichi Tamai, Tsuyoshi Okubo, Truong Vinh Truong Duy, Naotake Natori, and Synge Todo,
    arXiv:2307.02284
    深層ニューラルネットワークの情報伝搬のダイナミクスに起こる”秩序相”と”カオス相”の間の相転移が、非平衡相転移の一つである吸収状態転移と関連しているという提案をしました。ニューラルネットワークの幅が無限大で、ニューロン間の結合が全結合である極限では、上記の相転移は平均場近似で解析でき、その振る舞いがよく理解されていました。我々は、この相転移と吸収状態転移との関連に着目することで、幅や深さが有限の場合の有限サイズ効果を有限サイズスケーリングにより解析できること、畳み込みニューラルネットワークの場合には、相転移の臨界指数が、対応する空間次元のDP(Directed Percolation) ユニバーサリティクラスになること、などを示しました。一年位前から始まった共同研究プロジェクトの、最初の成果です。
  4. “Hunting for quantum-classical crossover in condensed matter problems”
    Nobuyuki Yoshioka, Tsuyoshi Okubo, Yasunari Suzuki, Yuki Koizumi, and Wataru Mizukami,
    arXiv:2210.14109
    物性物理の問題でよく出てくる量子多体系(並進対称性があり、相互作用は短距離)の基底状態を求めるタスクを考えた場合に、誤り耐性量子コンピュータを用いた計算(量子位相推定)が、古典コンピュータによる計算(テンソルネットワーク、より具体的にはDMRG)よりも優位になる問題サイズ(スピン数、粒子数など)を詳細に検討しました。その結果、量子化学などのより複雑な相互作用系に比べて、比較的小さいサイズで量子コンピュータが優位になり、少ない量子ビット数、少ない実行時間で、量子コンピュータによる計算の恩恵が得られることを示しました。JSTさきがけの量子情報処理領域で知り合った方々との共同研究です。
  5. “Possibility of a topological phase transition in two-dimensional RP3 model”
    Tsuyoshi Okubo and Naoki Kawashima,
    Journal of the Physical Society of Japan 92, 114701 (2023).
    (arXiv:2112.15053)
    フラストレートした二次元古典ハイゼンベルグ模型ではZ2渦と呼ばれる、渦のある・無しの二種のトポロジカル状態で特徴付けられる渦励起が存在しています。この論文では、このようなZ2渦が引き起こすと期待されている有限温度トポロジカル相転移の可能性について、大規模なモンテカルロシミュレーションにより検討した結果を報告しています。従来の格子よりも一桁程度大きい、L=16384 程度まで平衡シミュレーションを行い、無限系への外挿を行なった結果、相転移の存在を仮定すれば、確かに有限の相転移温度が得られることがわかりました。また、見積もった相転移温度での相関長は、10万格子間隔以上にも伸びていることも分かり、従来の数千格子間隔という見積もりよりも大幅に長くなっていることを明らかにしました。
  6. “TeNeS: Tensor Network Solver for Quantum Lattice Systems”
    Yuichi Motoyama, Tsuyoshi Okubo, Kazuyoshi Yoshimi, Satoshi Morita, Takeo Kato, and Naoki Kawashima,
    Comput. Phys. Commun. 279, 108437 (2022).
    (arXiv:2112.13184)
    二次元格子上に定義された量子スピン模型などの量子多体模型の基底状態をテンソルネットワーク法によって計算するパッケージTeNeSの論文です。TeNeSの説明の他、チュートリアルなども記載されています。
  7. “Gapped ground state in a spin-1/2 frustrated square lattice”
    H. Yamaguchi, N. Uemoto, T. Okubo, Y. Kono, S. Kittaka, T. Sakakibara, T. Yajima, S. Shimono, Y. Iwasaki, and Y. Hosokoshi,
    Physical Review B 104, L060411 (2021).
    (arXiv:2108.12761)
    強磁性と反強磁性の相互作用が共存するためにフラストレーションが存在する正方格子量子スピン系とみなせる物質の研究です。元々の結合は正方格子でS=1/2ですが、実効的に三角格子のS=1になっているのではという提案をしています。結果の解釈などについて、理論的な立場から寄与しました。
  8. “Quantum critical phenomena in a spin-1/2 frustrated square lattice with spatial anisotropy”
    H. Yamaguchi, Y. Iwasaki, Y. Kono, T. Okubo, S. Miyamoto, Y. Hosokoshi, A. Matsuo, T. Sakakibara, T. Kida, and M. Hagiwara,
    Physical Review B 103, L220407 (2021).
    (arXiv:2106.12126)
    説明は後ほど
  9. “Optimized Implementation for Calculation and Fast-Update of Pfaffians Installed to the Open-Source Fermionic Variational Solver mVMC”
    RuQing G. Xu, Tsuyoshi Okubo, Synge Todo, and Masatoshi Imada,
    Comput. Phys. Commun. 277, 108375 (2022).
    (arXiv:2105.13098)
    変分モンテカルロ法などで用いられる反対称行列のPfaffian計算について、実装を工夫することで高速化した他、多変数変分モンテカルロ法のアプリmVMCのマルコフ連鎖の更新に適用することで、従来法に比べて最大35倍ほどの高速化を達成しました。
  10. “Bond-weighted Tensor Renormalization Group”
    Daiki Adachi, Tsuyoshi Okubo, and Synge Todo,
    Physical Review B 105, L060402 (2022).
    (arXiv:2011.01679)
    通常のテンソルネットワーク繰り込みでは、格子点にテンソルが存在するネットワークの実空間繰り込みを考えますが、この論文では、格子点を繋ぐボンドにも非負の対角行列(2本足のテンソル)が存在する状況でのテンソルネットワーク繰り込みを提案しました。このボンドテンソルは、対応する自由度の”重み”と考えることができます。通常のテンソルネットワーク繰り込みで用いられる特異値分解の特異値から、このボンドテンソルも自然に定められ、計算コストをほぼ増大させることなく、計算精度が大幅に向上することを示しました。
  11. “Zero-energy excitation in the classical kagome antiferromagnet NaBa2Mn3F11
    Shohei Hayashida, Hajime Ishikawa, Yoshihiko Okamoto, Tsuyoshi Okubo, Zenji Hiroi, Gøran J. Nilsen, Hannu Mutka, and Takatsugu Masuda,
    Physical Review B 101, 214409 (2020).
    (arXiv:2006.01526)
    説明は後ほど
  12. “Phase Shift in Skyrmion Crystals”
    Satoru Hayami, Tsuyoshi Okubo, and Yukitoshi Motome,
    Nature Communications 12, 6927 (2021).
    (arXiv:2005.03168)
    複数の波数モードが重ね合わさった状態である、多重Q秩序状態は、興味深いスピンテクスチャを生み出す源になっています。スカーミオン格子と呼ばれる、トポロジカル励起が周期格子を構成した状態も、このような多重Q秩序状態の一つになっています。これまで、多重Q秩序状態の特徴付けには、含まれる波数、各モードの形状(スピン密度波かスパイラルか)が注目されていましたが、実際には、各モードの相対的な位相もスピンテクスチャを決定する重要な要素です。本論文では、6体のスピン相互作用を考慮すると、この相対的な位相をコントロールできることを示し、位相の変化が、有限温度相転移として実際に実現することを示しました。
  13. Magnetic-field Induced Quantum Phases in Tensor Network Study of Kitaev Magnets
    Hyun-Yong Lee, Ryui Kaneko, Li Ern Chern, Tsuyoshi Okubo, Youhei Yamaji, Naoki Kawashima, and Yong Baek Kim,
    Nature Communications 11, 1639 (2020).
    (arXiv:1908.07671.)
    強いキタエフ相互作用が実現していると考えられているα-RuCl3は、外部磁場がゼロの状況では、低温で磁気秩序を示します。一方、ある程度大きい外部磁場下では磁気秩序が抑制され、その状態では、熱ホール係数が半整数に量子化されていることが報告されいます。このことから、磁場下でなんらかのスピン液体状態が実現している可能性が議論されています。本研究では、この物質を念頭に、Kitaev-Γ-Γ’模型の磁場中基底状態を無限系のテンソルネットワーク状態を用いた変分法で解析しました。その結果、厳密対角化法などで予想されいたよりもキタエフスピン液体状態は狭く、代わりに、格子の回転対称性を 自発的に破るような、新しい量子状態が実現していることを明らかにしました。
  14. Abelian and Non-Abelian Chiral Spin Liquids in a Compact Tensor Network Representation
    Hyun-Yong Lee, Ryui Kaneko, Tsuyoshi Okubo, and Naoki Kawashima,
    Physical Review B 101, 035140 (2020).
    (arXiv:1907.02268.)
    arXiv:1901.05786で提案したキタエフスピン液体に対するコンパクトなテンソルネットワーク表現をスター格子上のキタエフ模型に拡張しました。この模型では、基底状態が厳密に計算でき、カイラルスピン液体と呼ばれるスピン液体になっていることが知られています。我々の”ループガス”を用いたテンソルネットワーク状態はこのカイラルスピン液体状態を定性的・定量的に表現することができ、また、異なるカイラルスピン液体(AbelianとNon-Abelian)の間の相転移も表現できることがわかりました。
  15. Anisotropic Tensor Renormalization Group
    D. Adachi, T. Okubo and S. Todo,
    Physical Review B 102, 054432 (2020).
    (arXiv:1906.02007.)
    テンソルネットワークを用いた実空間くりこみ群について、特異値分解を有効に用いることで、効率的に非等方なくりこみを行う方法を提案しました。この方法を用いると、HOTRG(Hihger Order Tensor network Renormalization Group) ほどの計算コストをかけることなく、低コストで高次元系の計算が行えます。同じボンド次元(テンソルの大きさ)では、近似の影響でHOTRGよりも精度が落ちますが、計算コストあたりでは、我々の提案するATRG(Anistropic Tensornetwork Renormalizaiton Group)の方が、精度が高くなりそうです。
  16. A series of magnon crystals appearing under ultrahigh magnetic fields in a kagomé antiferromagnet
    R. Okuma, D. Nakamura, T. Okubo, A. Miyake, A. Matsuo, K. Kindo, M. Tokunaga, N. Kawashima, S. Takeyama and Z. Hiroi,
    Nature Communications vol 10, Article number: 1229 (2019).
    かごめ格子S=1/2量子スピン系の磁化過程に関する(主として)実験的な研究。この物質では、磁化過程に複数の磁化プラトーが観測され、それはマグノンが様々な周期構造を形成した状態だと解釈することができる。大久保は、テンソルネットワーク法により、ハイゼンベルグ模型では、1/3プラトーで確かにマグノン結晶が安定化しそうなこと、実験の物質には大きな(Jの10%程度)のDM相互作用が存在していそうなことを示す形で寄与しました。
  17. Multiple-q states of the J1-J2 classical honeycomb-lattice Heisenberg antiferromagnet under magnetic fields
    Tokuro Shimokawa, Tsuyoshi Okubo, Hikaru Kawamura,
    Physical Review B 100, 224404 (2019).
    (arXiv:1902.01582).
    フラストレーションのある、古典ハニカム格子J1-J2ハイゼンベルグ模型の磁場中での秩序化の研究。この模型はゼロ磁場での基底状態が波数空間でリング状に縮退しており、有限温度ではそのうち、対称性の高いものがorder-by-disorderで選択されることが知られていた(S. Okumura et al)。その選択される波数は一般的に格子に不整合となるため、三角格子模型の場合(T. Okubo et al)と同様の機構で、有限温度・有限磁場下ではmultiple-q状態が安定化する。三角格子模型との大きな違いは、基底状態のリング状の縮退にあり、order-by-disorderとmultiple-q状態の絡み合いにより、より複雑な相構造が現れることが明らかになった。
  18. Gapless Kitaev Spin Liquid to Classical String Gas through Tensor Networks
    Hyun-Yong Lee, Ryui Kaneko, Tsuyoshi Okubo, and Naoki Kawashima,
    Physical Review Letters 123, 087203 (2019).
    (arXiv:1901.05786).
    ハニカム格子上のKitaevスピン液体状態をテンソルネットワーク状態の一つである、iTPS(iPEPS)を使って表現した研究。Kitaevスピン液体に期待される対称性を満たすようにテンソルを構成することにより、D=4やD=8といった小さいボンド次元で厳密な基底状態に非常に近いエネルギーを得ることができた。このテンソルネットワーク表現では、従来のようにマヨラナフェルミオンが露わには出てきておらず、Kitaevスピン液体をマヨラナフェルミオンに頼らずに解釈できると期待している。
  19. Field-enhanced quantum fluctuation in an S=1/2 frustrated square lattice
    H. Yamaguchi, Y. Sasaki, T. Okubo, M. Yoshida, T. Kida, M. Hagiwara, Y. Kono, S. Kittaka, T. Sakakibara, M. Takigawa, Y. Iwasaki, and Y. Hosokoshi,
    Physical Review B 98, 094402 (2018).
    (arXiv:1808.06812)
    強磁性と反強磁性の最近接相互作用が混在しているため、フラストレートしたプラケットが存在する正方格子量子スピン系の磁化過程の研究。大久保は、テンソルネットワーク法により、実験で観測された1/2磁化プラトー近傍の弱い異常と大きなスピン揺らぎとの関係を明らかにする形で、寄与しました。
  20. “Magnetic State Selected by Magnetic Dipole Interaction in Kagome Antiferromagnet NaBa2Mn3F11
    Shohei Hayashida, Hajime Ishikawa, Yoshihiko Okamoto, Tsuyoshi Okubo, Zenji Hiroi, Maxim Avdeev, Pascal Manuel, Masato Hagihala, Minoru Soda, Takatsugu Masuda,
    Physical Review B 97, 054411 (2018).
    (arXiv:1712.06740)
    カゴメ格子型の相互作用を持つ磁性体の磁気構造を中性子回折実験で決定した論文。決定された磁気構造の実現には、双極子相互作用のような方向に依存する異方性が重要になっていることも明らかにした。大久保は、理論的な立場からの議論と、(論文には載っていない)数値計算による補足などで寄与しました。
  21. “Quantum phase transitions driven by rhombic-type single-ion anisotropy in the S=1 Haldane chain”,
    Yu-Chin Tzeng, Hiroaki Onishi, Tsuyoshi Okubo, and Ying-Jer Kao,
    Physical Review B 96, 060404(R) (2017).
    (arXiv:1705.01558)
    よく扱われるSz2の形の一軸異方性に加えて、Sx2-Sy2の形のrhombic異方性が存在する場合のS=1 Haldane鎖の基底状態相図をDMRGで計算した話。大久保は、基底状態相図の対称性の議論と、臨界点でのrhombic異方性項の重要性の議論で寄与しました。
  22. “Weak ferromagnetic order breaking the threefold rotational symmetry of the underlying kagome lattice in CdCu3(OH)6(NO3)2⋅H2O”,
    R. Okuma, T. Yajima, D. Hamane, T. Okubo, and Z. Hiroi,
    Physical Review B 95, 095427 (2017).
    arXiv:1703.09357).
    現実のカゴメ格子磁性体には少なからず存在する異方性により、カゴメ格子の回転対称性を破った磁気的な基底状態が現れる話。大久保は、基底状態の縮退度とそれから期待される相転移の臨界現象の議論に寄与しました。
  23. “Ground state properties of Na2IrO3 determined from ab initio Hamiltonian and its extensions containing Kitaev and extended Heisenberg interactions”,
    T. Okubo, K. Shinjo, Y. Yamaji, N. Kawashima, S. Sota, T. Tohyama, M. Imada,
    Physical Review B 96, 054434 (2017).
    arXiv:1611.03614
    強いスピン軌道相互作用が存在する物質 Na2IrO3の基底状態について、テンソルネットワーク法、2次元密度行列繰り込み群法、厳密対角化法の三種の数値計算を駆使して、研究しました。大久保の寄与は主に、テンソルネットワーク法による計算の部分と、数値計算全体をまとめた結果の議論、解釈の部分です。
  24. “Experimental Realization of a Quantum Pentagonal Lattice”,
    H. Yamaguchi, T. Okubo, S. Kittaka, T. Sakakibara, K. Araki, K. Iwase, N. Amaya, T. Ono, and Y. Hosokoshi,
    Scientific Reports 5, 15327 (2015).
    5角形の相互作用ループを持つ有機磁性体の実験の論文です。相互作用ハミルトニアンの推定等において、数値計算を用いた議論で貢献しました。
  25. “SU(N) Heisenberg model with multi-column representations”,
    T. Okubo, K. Harada, J. Lou, and N. Kawashima,
    Physical Review B 92, 134404 (2015).
    arXiv:1504.05332
    SU(N)対称性に拡張した正方格子上のハイゼンベルグ模型の基底状態を量子モンテカルロ法で調べました。特に、Nが小さい反強磁性秩序相とNが大きいVBS相との間に何らかの中間相が存在するかどうかに注目しましたが、調べた範囲では中間相の存在は確認できませんでした。“脱とじ込め転移”プロジェクトの一部です。
  26. “Scaling relation for dangerously irrelevant symmetry-breaking fields”,
    T. Okubo, K. Oshikawa, H. Watanabe, and N. Kawashima,
    Physical Review B 91, 174417 (2015).
    arXiv:1411.1872
    臨界固定点ではイレレバントだけど、秩序相の固定点ではレレバントになるような「危険なイレレバント場」が存在するときに現れる、「2つの長さスケール」とそれらの間の関係式についての議論。理論の予想を数値計算で確かめるところがかなり大変だった。この研究を通じて、くり込みの理解が深まりました。
  27. “Field-induced incommensurate phase in the strong-rung spin ladder with ferromagnetic legs”,
    H. Yamaguchi, H. Miyata, M. Yoshida, M. Takigawa, K. Iwase, T. Ono, N. Kase, K. Araki, S. Kittaka, T. Sakakibara, T. Shimokawa, T. Okubo, K. Okunishi, A. Matsuo, and Y. Hosokoshi,
    Physical Review B 89, 220402 (2014).
    arXiv:1406.2231
    強磁性相互作用を持つ一次元鎖が反強磁性で結合した一次元梯子系と期待される有機物質の研究。実験がメインですが、モデルパラメタの推定に量子モンテカルロで少しだけ貢献しました。個人的には、「ALPSを実験家に使ってもらおうプロジェクト」の一部です。
  28. “Snapshot spectrum and critical phenomenon for two-dimensional classical spin systems”,
    Y. Imura, T. Okubo, S. Morita, and K. Okunishi,
    Journal of Physical Society of Japan, 83, 114002 (2014) .
    arXiv:1402.6767
    二次元格子上のイジング模型やポッツ模型等のスナップショットをある種の「画像」として解析して、その特異値分解スペクトルの性質を調べた研究。神戸で開かれたテンソルネットワークの研究会で奥西さんのポスター発表を聞いたことがきっかけで、スペクトル分布の理解に貢献できました。
  29. “Kagome-Triangular Lattice Antiferromagnet NaBa2Mn3F11,
    H. Ishikawa, T. Okubo, Y. Okamoto, and Z. Hiroi,
    Journal of Physical Society of Japan, 83, 043703 (2014).
    arXiv:1403.2128
    カゴメ格子と三角格子の中間のような「カゴメ・三角格子」を形成する物質の研究。物質の合成と基本的な物性を測定した実験がメインですが、古典モンテカルロシミュレーション等を用いて、この物質で「Cuboctahedral(立方八面体)」型の立体的な秩序が生じている可能性を提案する形で寄与しました。そのうち、理論パートの論文がまとまる予定です。
  30. “Various regimes of quantum behavior in an S=1/2 Heisenberg antiferromagnetic chain with fourfold periodicity”,
    H. Yamaguchi, T. Okubo, K. Iwase, T. Ono, Y. Kono, S. Kittaka, T. Sakakibara, A. Matsuo, K. Kindo, Y. Hosokoshi,
    Physical Review B 88, 174410 (2013).
    arXiv:1311.4763
    4副格子の一次元量子スピン系で良く表せる有機物質の磁性に関する研究。実験がメインですが、僕は量子モンテカルロによるモデルパラメタの決定と、有効模型の導出・解析で寄与しました。
  31. “Possibility of Deconfined Criticality in SU(N) Heisenberg Models at Small N”,
    K. Harada, T. Suzuki, T. Okubo H. Matsuo, J. Lou, H. Watanabe, S. Todo, and N. Kawashima,
    Physical Review B 88, 220408(R) (2013).
    arXiv:1307.0501
    大規模量子モンテカルロ計算により、新しいタイプの相転移と期待される、”脱とじ込め転移”の可能性を探った研究。沢山のメンバーで、複数のアプローチで調べている内容の公開、第一弾。
  32. “Finite-temperature transition of the distorted kagome-lattice Heisenberg antiferromagnet”,
    H. Masuda, T.Okubo and H. Kawamura,
    Physical Review Letters 109, 057201 (2012).
    (arXiv:1201.5441)
    低温までしっかり調べたら驚くべき結果がでてきた。転移の詳細についてかなり熱く議論したけれど、この論文の段階では、まだ完全には決着していない。
  33. “Multiple-q states and the skyrmion lattice of the triangular lattice Heisenberg antiferromag in magnetic fields “,
    T.Okubo, S. Chung and H. Kawamura,
    Physical Review Letters 108, 017206 (2012).
    ( arXiv:1109.6161)
    個人的には、かなり面白いと思う。実験の人に興味を持ってもらえると嬉しい。
  34. “Cubic and non-cubic multiple-q states in the Heisenberg antiferromagnet on the pyrochlore lattice”,
    Tsuyoshi Okubo, Trung Hai Nguyen and Hikaru Kawamura,
    Physical Review B 84, 144432 (2011).
    (arXiv:1107.5440)
    僕がMultiple-qの秩序を初めて認識した問題。実験的に対応する物質が見つかれば面白いのだけど…。
  35. “Novel spin-liquid states in the frustrated Heisenberg antiferromagnet on the honeycomb lattice”,
    S. Okumura, H. Kawamura, T. Okubo and Y. Motome,
    Journal of Physical Society of Japan, 79, 114705 (2010) .
    ( arXiv:1004.4441).
    最近の実験に触発されて始まった研究です。この論文はJPSJの “Editors’ Choice” に選ばれました。
  36. “Signature of a Z2vortex in the dynamical correlations of the triangular-lattice Heisenberg antiferromagnet” ,
    T. Okubo and H. Kawamura ,
    Journal of Physical Society of Japan, 79, 084706 (2010) .
    (arXiv:1004.4730 )
    阪大に来てからの仕事その2。やったことのうち、本当のエッセンスのみを凝縮したので、書いてない詳細なネタが残ってます。
  37. “Phase transition of the three-dimensional chiral GL model
    — search fo the chiral phase” ,
    T. Okubo and H. Kawamura,
    Physical Review B 82, 014404 (2010).
    (arXiv:1001.4662).
    阪大に来てから最初に形になった仕事。分からないことばかりで、苦労しました。この論文はPRBの “Editors’ suggestion” に選ばれました。
  38. “Z2-Vortex Ordering of the Triangular-Lattice Heisenberg Antiferromagnet”,
    H. Kawamura, A. Yamamoto and T. Okubo,
    Journal of the Physical Society of Japan 79, 023701 (2010).
    (arXiv:0909.0121).阪大に来てからの始めての論文。
  39. “Mean-field analysis of phase transitions in the emergence of hierarchical society”,
    T. Okubo and T. Odagaki,
    Physical Review E 76, 036105 (2007).
    新幹線の中で閃いたことが基になっているので、思い入れがある論文です。
  40. “Dissipative process under a boundary perturbation”,
    T. Okubo and T. Odagaki,
    Physical Review E 73, 026128 (2006).
    修論の三分の二くらいをまとめたものが論文になりました。
  41. 卒業研究+αをまとめたものが論文になりました。
    T. Okubo and T. Odagaki
    “Random packing of binary hard discs”
    Journal of Physics : Condensed Matter 16, 6651 (2004).

依頼された文章

  1. 「拡張キタエフ模型における熱ホール伝導度のテンソルネットワーク法による研究」
    大久保毅、固体物理 Vol. 57, No.11, 633-642, 2022.
  2. 「量子多体系とテンソルネットワーク」
    大久保毅、数理科学2022年12月号, 58-64, 2022.
  3. 「テンソルネットワークの将来」
    大久保毅、数理科学2022年2月号, 65-72, 2022.
  4. テンソルネットワークによる情報圧縮とフラストレート磁性体への応用
    大久保毅、第63回物性若手夏の学校テキスト、物性研究 Vol. 7, No.2 (2018).
  5. 「テンソルネットワーク形式の進展と応用」
    西野友年、大久保毅、日本物理学会誌 Vol 72, No. 10, 2017
  6. “Massively parallel Monte Carlo simulation of a possible topological phase transition in two-dimensional frustrated spin systems”
    Tsuyoshi Okubo, Invited paper in ISSP Supercomputer Activity Report 2016.
  7. 「第8回日本物理学会若手奨励賞を受賞して」
    大久保毅,
    物性研だより 第54巻第2号 2014年7月 (PDFが物性研のwebサイトにあります)
  8. 「フラストレート磁性体における多重Q秩序とスカーミオン格子状態」
    大久保毅、川村光,日本物理学会誌 Vol. 67, No. 7, 2012
  9. “Multiple-q states and skyrmion lattice in frustrated triangular-lattice Heisenberg antiferromagnet”
    Tsuyoshi Okubo and Hikaru Kawamura, Invited paper in ISSP Supercomputer Activity Report 2012.

学位論文

  • 卒業論文:「ニ成分剛体円盤のランダムパッキング」 大久保毅2003年3月
    大きさの異なる二種類の剛体円盤を、平面内にランダムに充填した時に、円盤の半径比・濃度に応じて充填率がどのように変化するのかを調べました。目の前に立ちはだかる壁は高かったです。 拙い文章ですが、読みたい方はだうんろーど
  • 修士論文:「量子力学に従う粒子の初到達時間と境界摂動に対する応答」 大久保毅2005年3月
  • 博士論文:“Linear Response under a Boundary Perturbation” Tsuyoshi Okubo 2008年3月